キーン・ピーという音が聞こえる耳鳴り
音には、「キーン」「ピー」という高音、「ザー」「ブーン」「ゴー」「ジー」という低音があります。
原因には、メニエール病や突発性難聴、聴神経腫瘍、中耳炎などの病気、筋肉の痙攣、加齢、騒音、ストレス、疲労、睡眠不足など様々なものがあります。急な気圧の変化でも耳鳴りが起こることがありますが、すぐ治まるケースがほとんどです。
耳鳴りは周囲の人につらさを理解してもらえない場合が多く、患者様が1人で問題を抱えがちになります。日常生活に影響しなければ問題ありません。しかし、症状が長引いてお悩みでしたら、新潟市江南区にあるとがし医院(耳鼻咽喉科・頭頸部外科)へご相談ください。
耳鳴りの原因は?ストレスも関係している?
耳鳴りの原因は、ストレス、疲れ、睡眠不足や騒音、筋肉の痙攣、加齢などがありますが、突発性難聴、聴神経腫瘍、メニエール病、中耳炎などの疾患が関係している場合もあります。
ほとんどの耳鳴りは、重大な病気の原因になったり、命が危険にさらされたりしません。
片方の耳だけに耳鳴りが起こることも
片方の耳に耳鳴りが起こる場合、その耳に何らかの異常が発生している可能性があります。具体的には、外耳道に詰まりがある、中耳炎、聴神経腫瘍などです。
聴神経腫瘍は良性の脳腫瘍の1つで、かなり珍しい疾患と言えます。耳鳴りは音が聞こえづらくなる難聴とも関連性があります。大きな騒音で耳が傷つくことが原因で起こる騒音性難聴(音響外傷)でも、片方の耳だけ耳鳴りが起こることもあります。突発性難聴では原因不明であることが多く、3~4万人が症状に悩んでいると言われています。
聴力の検査では問題ないが言葉が聞き取りづらいのは、脳に情報が伝達される途中にトラブルがあるのかもしれません。いずれにせよ早めの治療が肝心です。
耳鳴りの音から考えられる疾患
耳鳴りは、原因によって音が変わります。その症状は患者様によって異なり、下記のように色々な種類があります。
「ピー」「キーン」など高い音の場合
耳を塞ぐと「ピー」「キーン」などの音の音量が上がります。電子音や金属音に似ています。
メニエール病
目の前がグルグル回転しているようなめまいが起こり、その前後に吐き気や嘔吐、難聴、片側だけの耳鳴り、耳閉感を感じる場合があります。症状が何度も起きることが突発性難聴との違いです。20~50代の女性がかかりやすく、持続する時間は数分~数時間と幅広いです。
内リンパ水腫という内耳の中にあるリンパ液の増えすぎが原因と言われていますが、原因は解明されていません。
老人性難聴
加齢により聞き取りにくくなったり、両耳に耳鳴りを感じたりする場合があります。耳鳴りの原因は老人性難聴である可能性が高く、発症の多くは50~60代の方ですが、40代でかかる方もいます。
内耳にある蝸牛の音を感じる細胞(有毛細胞)が衰え、細胞数が減ったために起こります。
薬剤性難聴
耳に影響を与える薬剤(アスピリンなど)を飲むと、聞こえが悪くなり、浮動性めまいや耳鳴りが起こる場合があります。服用後、早い段階で症状が現れることが多いです。
突発性難聴
急に片方の耳だけ音が聞こえなくなる難聴で、めまいや耳鳴りの症状も出てきます。なぜ片耳だけ聞こえなくなるのかはわかっていませんが、ストレスと関連性があると言われています。
放置すると聴力の改善が難しくなるので、異常を感じたら早期に治療を始める必要があります。症状が出始めたら2週間以内に耳鼻咽喉科へご相談ください。
聴神経腫瘍(ちょうしんけいしゅよう)
神経の周囲を包む細胞から発生する良性の脳腫瘍で、中年女性に多く見られます。10万人に1人くらいの割合で発症すると言われていて、ふわふわとする浮遊性めまいや、片側だけの難聴、耳鳴りなどを伴います。
サイズが小さいままのものもありますが、徐々に大きくなっている場合はMRIなどで詳しく検査することもあります。当院ではMRIは実施しておりません。連携病院をご紹介します。
自律神経失調症
睡眠不足や疲れ、ストレスなどにより自律神経が乱れることで起こる耳鳴りです。短い時間で治まれば問題ありません。しかし耳鳴りが長時間続き、ストレスを感じたら治療が必要になる可能性があります。
音響外傷
コンサートやライブでの大音量や、イヤホン・ヘッドホンで長い時間音楽を大音量で聴いていると、音響外傷を発症する恐れがあります。大きな音で蝸牛の有毛細胞が傷つき、両耳に痛みや耳鳴り、難聴を発症することがあります。すぐ症状が治まれば良いのですが、耳鳴りや痛み、難聴が長時間続いているなら当院へご相談ください。
「ザー」「ゴー」など低い音の場合
耳閉感(耳に詰まりがある感覚)を感じ、ボイラーの音やエアコンの風、トンネルを通っている時の「ザー」「ゴー」という低い音に似ています。原因のほとんどは、ストレスや首コリや肩こりなどです。
メニエール病
個人差はありますが、「ザー」「ブーン」のような低音の耳鳴りが聞こえる場合があり、耳の聞こえにくさや回転性めまいを伴います。
中耳炎・耳管狭窄症(じかんきょうさくしょう)など
耳管や中耳に何らかのトラブルが発生すると、低い音で耳鳴りを感じる場合があります。風邪などがきっかけとなり、滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)や耳管狭窄症を発症するのが原因です。
低音障害型感音難聴
片側の耳が低音を聞き取りづらくなり、低音の耳鳴りがしてきます。20~40代の女性がかかりやすい傾向にあります。
めまいは伴わないのがメニエール病と異なる点で、突発性難聴より軽症で聴力の回復は早いのが特徴です。ただ、疲れやストレスが溜まっていると再発する可能性があります。
急な気圧の変化
急な気圧の変化で低音の耳鳴りが現れます。
肩・首の凝り、疲労・ストレス
低音の耳鳴りが肩・首こり、疲労やストレスでも現れることがあります。
その他
「ゴソゴソ」「ガサガサ」という耳鳴り
耳の中に虫が入った可能性もありますが、耳垢が原因で音が聞こえることもあります。
「グググ」「コツコツ」「ブクブク」「ポコポコ」という耳鳴り
耳の周辺にある筋肉の痙攣により、不定期に耳鳴りが聞こえます。
「ドクドク」「ドコドコ」「ジョー」などの音が続く耳鳴り
「ドクドク」など心臓の音と一緒に聞こえる耳鳴りは、脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、外リンパ瘻などの病気の可能性があるため、MRIなど精密検査が行える脳神経外科や循環器内科をご紹介する場合があります。
耳鳴りの検査
人により症状が異なる耳鳴りは、問診で症状を詳しくお聞きし、画像検査や耳鳴検査、聴力検査などから診断します。
耳鳴りの治し方
耳鳴りを完治させる方法は今のところありません。耳鳴りの原因として色々なものが考えら、原因が判明していればそれを治療することで耳鳴りの改善も見込めるようになります。
薬で経過を見る薬物療法が主な治療となりますが、耳鳴りが完全に治まらないケースもあります。気になる症状を和らげるための治療方法もあります。また、発症している病気(滲出性中耳炎や聴神経腫瘍など)により手術を行うケースもあります。当院では手術をおこなっていませんので、連携病院をご紹介します。
薬物療法
ステロイド製剤、血管拡張剤、ビタミン剤、内耳の循環改善剤、漢方薬、抗不安剤、抗うつ薬、抗けいれん薬、などを処方して、耳鳴りの原因になっている病気の治療を行います。
音響療法
耳鳴りから気をそらせるために、自然の水の音(川や波の音)や耳鳴りに似ている音を聞いてもらいます。
TRT療法
耳鳴順応療法とも呼ばれます。様々な音を聞いてもらい、耳鳴りから気をそらせます。さらに、耳鳴りの知識を身に付けていただき、耳鳴りをなくすのではなく、耳鳴りに慣れてもらうように指導します。
治療期間は半年から数年かかり、耳鳴りで日常生活にかなり支障を来している方、半年以上症状が続いている方が対象となります。