鼻づまりや膿が貯まる副鼻腔炎
副鼻腔は、8つの空洞に分かれており、ここに炎症が起きます。症状として、においを感じない、歯痛、頭痛、おでこや頬の痛みなどが現れます。
急性の症状が「急性副鼻腔炎」、3ヶ月以上続くのが「慢性副鼻腔炎」で「蓄膿症」とも呼ばれます。急性副鼻腔炎を風邪と勘違いする方もいて、そのまま放置してしまう場合もあります。しっかり治療すれば治る病気ですが、炎症を放置すると治りにくくなります。
鼻風邪がなかなか良くならない、鼻に違和感がある方は、新潟市江南区にあるとがし医院(耳鼻咽喉科・頭頸部外科)へお早めにご相談ください。
副鼻腔炎の種類・原因は?ストレスとの関連性は?
蓄膿症とも呼ばれますが、医学用語ではありません。副鼻腔炎の種類や原因を詳しく解説します。
急性副鼻腔炎
風邪のウイルスや虫歯などにより起きた細菌感染が原因です。鼻腔の中で炎症が起きて粘膜が腫れると、鼻水や鼻づまり以外にも、顔の腫れ、目や頬が押されているような感覚、痛みなどが生じます。
アレルギー性鼻炎や風邪が引き金になることが多いですが、1ヶ月ほどで良くなる場合がほとんどです。また、妊娠中に副鼻腔炎になる方もいます。
慢性副鼻腔炎
蓄膿症とも呼ばれ、症状が3ヶ月以上続くと慢性副鼻腔炎と診断されます。急性副鼻腔炎より症状が軽度である場合が多いですが、慢性化すると副鼻腔の中に溜まった膿が排出しにくくなります。そうなると、粘膜の炎症が治りづらくなり、腫れを繰り返します。悪化すると、鼻茸というポリープになる可能性があります。
好酸球性副鼻腔炎
患者数が増加しているのが好酸球性副鼻腔炎です。好酸球と呼ばれる白血球の増加との関係が指摘されていますが、はっきりした原因は不明です。鼻づまり、においがわからないようになること以外にも、喘息、中耳炎、胃腸炎、肺炎になる方もいます。また、鼻茸(鼻ポリープ)ができることもあります。
成人女性に特に多く見られ、2015年には難病指定され、公的補助が受けられるようになりました。
副鼻腔炎の症状チェック
- 鼻づまり
- 目の周辺が痛い
- 痰がからむ
- においがわからない
- 鼻水が黄色い
- 歯に違和感や痛みが出る
- 頭痛がする
- 頬のあたりが痛い
上記に該当する場合、副鼻腔炎の可能性があります。副鼻腔炎は、嗅覚に関係する症状以外にも、目や頬の痛み、頭痛といった症状も現れることがあります。症状を放置すると、学業や仕事に影響したり、体調不良に繋がったりします。
副鼻腔炎の検査
副鼻腔炎の検査では、診察以外にも下記のような検査を行います。
視診・問診
細菌検査
細菌の種類が判明すれば、それに対する薬を処方できます。
また、必要があれば血液検査(アレルギーが原因の場合)を行います。
副鼻腔炎の治し方
副鼻腔炎の治療方法として、主に下記の2つの方法が挙げられます。
好酸球性副鼻腔炎の保存的治療
好酸球性副鼻腔炎に抗生物質は効き目がありません。症状を軽くさせるため、点鼻や吸入薬、ステロイドを内服します。
保存的療法
鼻の洗浄や鼻水の吸引、抗生物質で治療を行って経過を診ますが、効果に応じて種類を変えた抗生物質を使用する場合があります。また、鼻の中をきれいに洗うため、カテーテルで薬を注入するケースもあります。
薬物療法
副鼻腔炎の状態に合わせて薬物療法を行っていきます。
点鼻薬(ステロイド)
アレルギー症状の緩和や水分量を調整するなどの効果があり、効き目を感じやすい薬がステロイドです。鼻の症状に対して高い効果が期待できますが、副作用のリスクもあります。ただ、近年では点鼻薬を使用しても鼻以外への影響が少なくなり、副作用のリスクが低減しています。
抗ロイコトリエン薬
ロイコトリエンは炎症反応やアレルギーなどの引き金となる働きをする物質で、喘息の発作にも関連があります。抗ロイコトリエン薬の服用で、ロイコトリエンの働きを抑制し、炎症反応やアレルギーが出ないようにします。副鼻腔炎にも抗ロイコトリエン薬は有効とされています。
抗生物質
細菌感染に効き目を発揮する薬です。膿性鼻漏が続く時や、副鼻腔炎の初期症状が現れた時などに服用します。患者様の症状や状況、年齢、検査結果から医師が判断した抗生物質を処方いたします。
マクロライド系抗生物質
マクロライドは細菌の働きを抑制する抗生物質で、ほかにもセフェム系やペニシリン系など色々な種類があります。マクロライド系のお薬を継続して服用すると、慢性的な炎症を抑える効果が期待されます。
副鼻腔炎の場合、鼻ポリープがない場合に処方するケースが多いです。
ステロイド内服薬
副腎で作られたホルモンの一種で、薬として応用するため人工的に作られたのがステロイドです。副鼻腔炎の症状にも効き目があり、他の疾患の治療薬としても使用されています。
ただ、副作用があることでも知られていて、血糖値や血圧を上げる、不眠といった副作用が現れる場合があります。鼻ポリープがある副鼻腔炎の治療に、ステロイド内服薬は効果的と言われています。
痰切りのお薬
副鼻腔に溜まった異物を排出する繊毛機能の働きが低下すると副鼻腔炎になり、ゴミや鼻水などが溜まってしまいます。去痰薬と呼ばれる痰切りのお薬を服用することで、副鼻腔に溜まったネバネバする鼻水の排出を促し、症状を改善へと導きます。
生理食塩水による鼻洗浄
副鼻腔内に異物が溜まると、粘膜の炎症が起きます。副鼻腔を洗浄すると、ネバネバした鼻水やごみなどが洗い流され、粘膜の炎症も落ち着いてきます。鼻ポリープを伴わない副鼻腔炎に有効ですが、副鼻腔炎全般にも効用があります。
デュピルマブ(デュピクセント)
鼻ポリープがある副鼻腔炎に効果的な薬です。手術やステロイド内服薬を使用しても症状が繰り返される慢性副鼻腔炎の方に使用します。鼻ポリープを小さくさせる効能があり、鼻づまりやにおいがしないなどの改善が見込まれます。
手術
内視鏡を用いて手術を実施します。主に保存的治療で回復が見込めない方が対象です。手術になるのは、真菌(俗にいうカビ)により症状が出ているケースです。
鼻の中の形は人それぞれなので、手術の難易度は高く熟練の技が必要です。さらに歯周病や虫歯が原因の急性副鼻腔炎の場合も、なかなか改善が見込めない時には手術が必要になる可能性があります。
当院では手術をおこなっていませんので、連携病院をご紹介します。
自宅でできる副鼻腔炎の対処法
ネット通販や薬局などにある鼻洗浄専用の商品を購入して、ご自宅で好きな時間に洗浄することができます。
鼻洗浄と薬の併用で副鼻腔炎に効果があると言われていますが、それでも症状が長引くようであれば、耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。