中耳炎

プールやストレスで中耳炎になる?

プールやストレスで中耳炎になる?中耳炎は、中耳で起こる炎症を指します。ウイルス・細菌の感染などを原因として発症し、耳の痛み、耳垂れ、聞こえづらさなどの症状を伴います。
以前は「プールで感染し中耳炎になる」という意見がありましたが、「プールやお風呂で耳に水が入ったことで中耳炎を発症することは基本的にない」ということが分かっています。
ただし、診断・治療開始後に中耳炎の種類や治療法によって、プールでの活動を制限するということはあります。

中耳炎の種類別(症状・原因・治療)

中耳ってどこ?
中耳炎の種類別(症状・原因・治療)「耳」という器官の構造全体を見ると、外側から見える範囲の「外耳」、穴の入口から鼓膜までの「中耳」、鼓膜より奥の「内耳」の3つに分けられます。
真ん中にあるのが、中耳です。

急性中耳炎

細菌やウイルスの感染を原因として中耳に起こる炎症です。小さな子供に好発し、3歳までに5~7割の子供が少なくとも1回は急性中耳炎を発症しています。

症状や原因

強い耳の痛み、発熱、耳垂れなどの症状を伴います。小さなお子様の場合には、泣き止まない・不機嫌が続く、耳を気にする(触る)といった機嫌・行動の変化に気づいて受診するケースも多くなります。
原因となるのは、細菌・ウイルスの中耳への感染です。多くは、風邪をきっかけに感染します。鼻の奥から中耳へと続くトンネル(耳管)を介して感染が広がるのです。大人よりも耳管が短く傾斜が緩やかで、かつ風邪をひきやすい子供によく発症します。

治療

抗生剤、痛み止めなどを使った薬物療法を行います。
重症度によっては、鼓膜切開を選択します。鼓膜を切開し、炎症によってたまった膿を排出させます。切開した鼓膜は、通常1週間ほどで再生し元に戻ります。

滲出性中耳炎

中耳に滲出液が溜まり、炎症を起こす中耳炎です。痛み・発熱の症状を伴わないため、子供の場合には発見が遅れがちです。
子供の難聴の原因となるため、早期発見・早期治療が大切になります。

症状や原因

難聴、耳閉感などの症状を伴います。
アデノイド肥大、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎などによる鼻すすりの癖によって中耳が真空に近くなり、滲出液が溜まってしまうことが主な原因となります。急性中耳炎の後に滲出液が中耳に残っており、滲出性中耳炎を発症するケースも見られます。

治療

薬物療法では、去痰剤を使用することがあります。ただ子供の場合には、経過を観察しながら改善を待つこともあります。並行して、原因となる疾患がある場合には、その治療を行います。
保存療法での改善が見られない場合には、滲出液を排出させるための鼓膜切開を行います。鼓膜切開を行っても改善しない場合、滲出性中耳炎を繰り返してしまう場合には、小型のチューブを鼓膜に設置する鼓膜チューブ挿入術を行います。チューブは、数カ月~2年ほど、留置します。

慢性中耳炎

中耳で慢性的な炎症が続いている状態です。
鼓膜に穴があいたままになっていたり、鼓膜が癒着していたりといったことが原因になります。次にご紹介する真珠腫性中耳炎も、慢性中耳炎の1つです。

症状

難聴、耳垂れなどを主な症状とします。
真珠腫性中耳の場合には、めまい、顔面神経麻痺、味覚障害などを伴うこともあります。

治療

抗菌薬や点耳薬による薬物療法、中耳内の洗浄といった保存療法があります。
根本的な治療としては、鼓室形成術、耳小骨再建術、鼓膜穿孔閉鎖などの手術が必要になります。

真珠種性中耳炎

鼓膜が部分的にへこみ、そこに垢がたまることで真珠のような塊ができ、炎症を起こす中耳炎です。
先天的な中耳内皮の迷入、後天的な中耳の換気不全を主な原因とします。
難聴、耳垂れ、めまい、顔面神経麻痺、味覚障害などの症状を伴います。頭蓋底の骨が破壊され骨髄炎に至るケースも見られます。
治療では、鼓室形成術、耳小骨再建術などの手術が必要になります。当院では手術を行っておりませんので、連携病院をご紹介します。

子供は中耳炎を繰り返す?

中耳とのどの奥をつなぐトンネルのことを「耳管」と言います。
子供は、大人と比べて耳管が短く傾斜が緩やかであるため、のどの細菌・ウイルスが中耳へと移行し、感染・炎症を起こしやすいと言えます。また、そもそも子供が大人よりも簡単に細菌・ウイルスに感染してしまう(風邪をひいてしまう)ということも、子供の中耳炎の多さにつながっています。

お子様にこのような症状はありませんか?

子供は、大人のように症状を適切に訴えることができません。
早期発見・早期治療のためにも、親御様は特に以下のような症状(お子様の機嫌・行動)にお気をつけください。

  • 子供は中耳炎を繰り返す?熱がなかなか下がらない
  • 耳を気にしている、よく触る
  • 特に理由なく鳴き続ける、不機嫌が続く

いつから保育園や学校へ行かせてよいのでしょうか?

発熱などの症状が治まっているようでしたら、登園や登校は可能です。
ただし、残存した細菌・ウイルスをまわりの子供にうつしてしまうこともあるため、登園・登校の再開は、医師の許可を得てからとしましょう。

入浴やプールはいつからよいのでしょうか?

高熱や耳の痛みが続いている場合は、入浴は控えましょう。症状が落ち着けば、入浴を再開できます。
プールの再開のタイミングは、医師と相談した上で決定してください。塩素が鼓膜を刺激し、症状を悪化させることがあります。

子供が夜中に耳が痛いと泣くときや対処法は?

急性中耳炎などにより夜中に子供が泣き出した場合など、「どうしたらいいの?」と不安になることもあるかと思います。
しかし、決して慌てる必要はありません。基本的な対処法をご紹介します。

痛み止めなどで痛みが取れれば、翌日午前中に受診

冷たいタオルを耳に当てる、子供用の解熱鎮痛剤で耳の痛みが取れれば、その日はご自宅で寝かせて、翌日の午前中に受診をしましょう。なお、お薬は必ず「子供用」を飲ませてください。
1日受診・鼓膜切開が遅れたからといって、治りが遅くなる、難聴などが残るといったことはありません。

痛み止めで痛みが取れない場合は、救急外来を

冷たいタオルを当てる、解熱鎮痛剤を飲ませるといった対応で痛みが取れない場合は、救急外来を受診しましょう。
ただ、ここで行われるのも基本的に応急処置です。担当した医師から指示があるかと思いますが、翌日には必ず、耳鼻咽喉科を受診してください。

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