ふらつきや目が回るめまい
めまいが起きると、動いていないのに周囲がぐるぐる動いているように感じます。目で見ている情報と脳へ伝わる情報が異なってしまい、体のバランスがうまく取れなくなります。
原因と考えられているのは、平衡感覚に関係する三半規管と耳石器の異常か、伝わった情報を処理する脳の異常です。すぐに治まるめまい(高い場所から下を見た時、車に酔った時などの生理的なめまい)なら問題ありませんが、めまいがなかなか治まらない、何回も起きるようであれば、症状を放っておくのは危険です。体に何らかのトラブルが発生している可能性があります。
めまいはストレスや疲労が原因となることも
人間は、耳の奥にある内耳の働きと目で周囲の様子を把握することにより、直立や体を傾ける姿勢がとれます。めまいの原因は、内耳に何らかのトラブルが生じたか、脳の異常、ウイルス感染やストレスによって引き起こされるために起こります。
めまいの種類
回転性めまい | 自分や周囲がぐるぐる回転しているように錯覚する症状が現れます。耳に何らかのトラブルが生じている場合が多く、難聴や耳鳴りが起こる方もいます。 |
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浮動性めまい | 揺れていないのに揺れている感覚、体が浮いてふわふわしている感覚になります。脳にトラブルが生じている可能性があり、手足にしびれや頭痛の症状が現れる方もいます。 |
中間型めまい | 回転性めまいと浮動性めまいの症状がどちらも出ている、もしくは正しい診断ができない時は中間型めまいとされます。 |
眼前暗黒・失神感 | 目の前が真っ暗になる、立ち上がった時に貧血のような症状が現れます。低血圧や起立性調節障害などが関係しており、失神してしまう方もいます。 |
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めまいを起こすメニエール病
メニエール病は回転性めまいが激しくなった病気で、難聴や耳鳴り、耳が詰まったような感覚が起こり、ひどくなると激しい吐き気に襲われる場合があります。
めまいの10~20%がメニエール病である可能性が高いとされていて、昔は女性がなりやすいとされていましたが、近年ではご高齢の男性の患者様も増加しています。
メニエール病の原因は、「内リンパ水腫」という内リンパ腔にあるリンパの増加によるものとされています。症状が重くなると、耳鳴りや難聴が繰り返され、周囲の音が聞き取りづらくなってしまう場合があります。激しいめまいに耐えられない患者様の中には救急車を呼ぶ方もいます。
メニエール病の原因は?
メニエール病を引き起こすと言われているのは、睡眠不足や疲れ、ストレス、神経質な性格などです。これらが原因で、内リンパ水腫の症状が進行してしまいます。内リンパ水腫とは、内耳の内リンパにあるリンパ液が増えすぎてしまう病気で、リンパ液が増えすぎる原因の解明はされていません。三半規管(体の平衡感覚を司る)、蝸牛(聴力に関わる)が内耳にあるため、リンパ液が溜まってむくんでしまうとめまいや耳鳴りの症状が現れます。
早期に治療を開始すれば、めまいなどの症状は1~2ヶ月でほぼ治まりますが、放置してしまうと症状の改善が難しくなってしまいます。激しいめまいに襲われたら、新潟市江南区のとがし医院(耳鼻咽喉科・頭頸部外科)へお早めにご相談ください。
メニエール病の症状
- 耳鳴り
- めまい
- 聞こえにくい(難聴)
- ふらつき
- 耳が詰まる
- 頭痛・偏頭痛
- その他(吐き気、冷や汗、脈が速くなるなど)
上記がメニエール病の基本的な症状です。めまいの種類は、「頭がグラグラする」「目の前がグルグル回る」「体がフワフワする」などがあります。数十分で治まるめまいもありますが、症状が数時間続いてしまうと体調不良で吐き気や嘔吐する方もいます。
めまいが続く時間や回数、めまいが出るタイミングなどには、個人差があります。めまいが数秒~数分という短い時間であれば、「良性発作性頭位めまい」の可能性が高いです。
どんな人がメニエール病になりやすい?
- 疲れが溜まっている方
- 30~50歳代の方
- 寝不足が続いている方
- 気圧の変動が多い場所にいる方
- ストレスを感じやすい方
- 几帳面な方
ひと昔前、メニエール病は女性がなりやすいとされていましたが、メニエール病の起因となる寝不足、疲労、ストレスに年齢や性別は関係ないため、最近では男性、高齢者でもメニエール病に悩む方が増加してきました。ストレスを溜めやすい人は、定期的に気分転換しないと激しいめまいに襲われる場合があります。
メニエール病の検査
メニエール病の検査は、問診と足踏み検査、眼振検査、聴力検査を患者様の症状に合わせて行います。
問診では、どんな症状が、いつから現れ、どのくらいの間隔で現れるのかヒアリングして、メニエール病の症状に該当するかを判断します。症状が何度も繰り返すようでしたら、メニエール病の可能性は高くなります。
足踏み検査でわかるのは、内耳にむくみがないかどうかです。内耳に異常があると、体のバランスが保ちづらくなります。眼振検査では眼球の動きを観察して、めまいの観測を行います。聴力検査の実施は、耳が聞こえづらくなっている(難聴)場合です。
メニエール病の治し方
内リンパ水腫に対する薬や抗めまい薬、生活習慣の指導を行い、メニエール病の改善を目指します。なかなか改善されない時は、平衡感覚を鍛える訓練や手術を行います。
手術になるのは、耳の聞こえが悪くなったり、発作が頻発して日常生活に影響したりと、薬の効果が発揮されない時です。
メニエール病と良性発作性頭位めまい症の違い
「良性発作性頭位めまい症」と「メニエール病」はどちらも“回転性めまい”を伴いますが、症状・原因・治療法とも異なります。
良性発作性頭位めまい症は、頭を特定の向きにした時にめまいが起こるという特徴を持ちます。また、メニエール病に見られる耳鳴り・難聴・吐き気はありません。1カ月ほどで自然治癒することがあるという点も、メニエール病との違いです。
原因においても違いがあります。内リンパ水腫を原因とするメニエール病に対して、良性発作性頭位めまい症では耳石の異常を原因とします。そのため良性発作性頭位めまい症は、耳石を元の位置に戻せば(または自然に戻れば)、症状が治まります。
なお当院では、良性発作性頭位めまい症・メニエール病のいずれの診断・治療にも対応しております。
安心してご相談ください。
良性発作性頭位めまい症とは
良性発作性頭位めまい症とは、頭の向きを変えた時に発作的に起こるめまいのことです。「良性」とある通り、健康を害したり命を危険にさらしたりといったことはありません。後遺症もありません。
自然に治ることもありますが、脳梗塞や腫瘍などを原因として起こるめまいと患者さん自身が区別するのは困難ですので、必ず医療機関を受診し、危険な病気との鑑別を行うことが大切です。
良性発作性頭位めまい症は、耳の奥の前庭という器官にある小さな耳石(カルシウム結晶)が、外傷などをきっかけに後半規管や外側半規管に入り込み、半規管を刺激することで発症します。
主な症状
以下のように頭位(頭の向き)を変えた時に、数十秒ほどの、グルグルと目が回るような回転性めまいが起こります。どのような頭位でめまいが起こるかは、耳石の入り込んだ位置によって異なります。
- 朝、ベッドから身体を起こした時
- 座っている状態から立ち上がった時
- 寝返りをうった時
- 顔を上に向けた時
- 後ろを振り返った時 など
なりやすい人の特徴
頭を動かさない時間が長い人は、良性発作性頭位めまい症のリスクが高くなると言われています。
そのため、デスクワークをする人にしばしば発症します。その他、寝返りの回数が少ない人、低い枕で寝ている人も、そうでない人と比べると良性発作性頭位めまい症になりやすいと考えられます。
検査・治療
めまいの感じ方・頻度・時間、その他の症状の有無、服用中の薬、既往歴・家族歴などをお伺いした上で、頭位・頭位変換眼振検査を行います。この検査で目が左右に触れる眼振が認められれば、良性発作性頭位めまい症と診断します。
当院ではリハビリのご指導と処方で対応しております。